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author : スポンサードリンク| 2017.02.03 Friday | - | -
TARO100祭記念出版「岡本太郎vs柿沼康二 TRANCE-MISSION」



岡本太郎 文
柿沼康二 書
平野暁臣 編


「岡本太郎の言霊を柿沼康二の肉体に打ち込み、胎内受精に持ち込んで、書という形での出産を待つ。 どんなこどもが生み落とされるかは、むろんやってみなければわからない。だから面白い。とにかく柿沼さんには湧き上がったイメージをそのまま吐き出してもらおう。 ――岡本太郎記念館館長 平野暁臣(本書あとがきより抜粋)」

岡本太郎の言葉を活字で掲載する見開きと、それに呼応するかのように 柿沼康二が揮毫した書の見開きの連続で展開。 本書は、太郎vs柿沼の本であると同時に、いわば前代未聞のタイポグラフィvs肉筆文字の本でもある。 「トランス・ワーク」はじめ独自の作風で、伝統と革新とがせめぎ合う書道界に風穴を開けるべく、 世界で活躍する書家・柿沼康二の最新作品集としても、十分に見ごたえのある一冊。

発行所 株式会社二玄社
デザイン 横山明彦(WSB)
撮影 野瀬勝一
表装協力 湯山春峰堂
判型 A5判・ソフトカバー
頁数 128ページ
本体価格 1,800円
発行日 9月22日予定



「岡本太郎vs柿沼康二 TRANCE-MISSION」あとがき

太郎さんとのシャドーボクシング

以前友人から太郎さんの著書「自分の中に毒を持て」を薦められて以来、私は太郎さんの言葉の世界とその哲学に大きく魅せられていた。そして数年前、「明日の神話」修復事業で知り合った岡本太郎記念館館長・平野さんから膨大な量の太郎さんの書作品が送られ、書、絵、書画、いずれの枠からもはみ出る作品群を目のあたりにして、思わず墨を摺り臨書を始めたときから、太郎さんと私の「対決」は始まった。

書道の世界において臨書はとても大切な作業である。古典として今日に残る能筆家の書を徹底的に模倣することで、書の形や技術のみならず、書き手の息遣い、呼吸やリズム、歴史的背景、更には書き手の心理や哲学に迫り、3500年とも言われる書の奥義を紐解いてゆくのである。そして書家にとって臨書は「吸う」作業、創作は「吐く」作業であり、息を吐き出すにはまず吸い込まねばならないように、創作するには臨書が不可欠だ。一見相反するようなこの二つの作業が渾然と融合し連動してはじめて、芸術的な書を生み出すことができる。

太郎書の臨書は私にとって、「太郎線」とも呼べるあの特徴的なうねりと痩肥をもつ独特の曲線を体得するだけでなく、太郎芸術の多くに見受けられるシンボリックな線運動や造形感覚を心身で理解し、一度も会ったことのない、そして今は亡き岡本太郎という肖像を捉えるためのこの上ない勉強法だった。

それから5年の月日が流れ、2010年岡本太郎記念館企画展「化け文字 〜書家・柿沼康二の挑戦状〜」の開催に至る。企画展の制作で体が張り裂けそうなくらい太郎さんとその書を吸い込んだ私は「太郎中毒」状態になってしまい、このままでは太郎さんに体が乗っ取られてしまうという危機感を感じていたところへ、平野さんから岡本太郎生誕100周年記念企画として、太郎さんと私の対決本の出版話が提案された。「岡本太郎の遺した言葉を柿沼康二が書く」。活字化され既にイメージが定着している太郎さんの多くの言霊から、どの文章を選び、どのように書作品化するのか。そして一番大切なのは、なぜ自分が表現するのかということ。ただ字を書くのではなく、太郎さんの言霊を身体全体で受け止め咀嚼して、岡本太郎作詞、柿沼康二作曲とでもいうべき書芸術として作品にしなければ意味がないと思った。

再び岡本太郎と柿沼康二のシャドーボクシングのゴングが鳴った。

素材とする太郎語録は、平野さんや出版社の結城さんの意見を織り交ぜながら具体化していった。しかし「宇宙」「ぱーぁ」「絶対」「筋」「法隆寺は燃えてけっこう」・・・さらには超長文、難解な詩など、書家である私個人としては絶対に素材として扱わないもののオンパレード、まさに「なんだこれは!?」と思った。三日三晩かけて書いて書いて「吐き出し」、その後三日間は太郎本を読んだり太郎語と睨めっこしたりしながら「吸い込む」、それを1ラウンド計算で計12ラウンド戦った結果、徹底的に咀嚼して表現したもの、太郎・柿沼半々のもの、全くと言っていいほど太郎さんを意識せずに私のどストレートで投げ込んだもの、既に書ではなくなってしまったもの…いろいろな作品が生まれた。気が付けば制作総数196点。その約1/5程の作品が太郎VS柿沼「TRANCE‐MISSION」という形で世に送り出されることとなった。

かれこれ2年間ぶっ通しで毎日毎日太郎さん漬けになり、この半年間、何度も打ち切れ、体を壊したりしながらも、自分の全てを出し切って制作をやり遂げた今、何なんだろう、この充足感は。そして身体の内部で大きな化学反応が起こったかのように、太郎さん、そしてその言霊を何ら意識することなくすんなり受け止めている自分がいる。
「尊敬とは追従ではなく対決である」。芸術家として、また一人の人間として尊敬してやまない太郎さんと思う存分対決させていただき、これでようやく太郎さんの中毒状態から抜け出せそうだ。
チームTRANCE‐MISSION、お蔭様で自分以上の力を出すことができました。 平野さん、二玄社の結城さん、デザインの横山さん、写真の野瀬さん、そして天国の太郎さん、敏子さんに心より感謝申し上げます。

書家/アーティスト 柿沼康二
author : 柿沼康二| 2011.09.21 Wednesday 10:28 | - | trackbacks(0)
柿沼康二
書家、アーティスト
Koji Kakinuma (c)Douglas Benedict
(c)Douglas Benedict
書家/アーティスト・柿沼康二の芸術観、書道について、アーティスト論、過去の日記などを集めたエッセー集。

柿沼康二(カキヌマコウジ)。書家・書道家・現代美術家。 1970年栃木県矢板市生まれ。5歳より筆を持ち、柿沼翠流(父)、手島右卿(昭和の三筆)、上松一條に師事。東京学芸大学教育学部芸術科(書道)卒業。2006-2007年、米国プリンストン大学客員書家を務める。 「書はアートたるか、己はアーティストたるか」の命題に挑戦し続け、伝統的な書の技術と前衛的な精神による独自のスタイルは、「書を現代アートまで昇華させた」と国内外で高い評価を得る。2013年、現代美術館において存命書家史上初の快挙となる個展を金沢21世紀美術館にて開催。2012年春の東久邇宮文化褒賞、第1回矢板市市民栄誉賞、第4回手島右卿賞。独立書展特選、独立書人団50周年記念賞(大作賞)、毎日書道展毎日賞(2回)等受賞歴多数。NHK大河ドラマ「風林火山」(2007)、北野武監督映画「アキレスと亀」、角川映画「最後の忠臣蔵」等の題字の他、「九州大学」「九州大学病院」名盤用作品等を揮毫。 NHK「トップランナー」「趣味Do楽 柿沼康二 オレ流 書の冒険」「ようこそ先輩課外授業」「スタジオパークからこんにちは(2回)、MBS「情熱大陸」、日テレ「心ゆさぶれ! 先輩ROCK YOU」、BOSE社TV-CM等に出演。 伝統書から特大筆によるダイナミックな超大作、トランスワークと称される新表現まで、そのパフォーマンス性は幅広く、これまでNYメトロポリタン美術館、ワシントンDCケネディセンター、フィラデルフィア美術館、ロンドン・カウンティーホール、KODO(鼓童)アースセレブレーションなど世界各地で披露され好評を博す。現在、柿沼事務所代表取締役社長兼所属書家。


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