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著者名
著/岡本太郎・監/平野暁臣 判型/頁 A24取/96頁
定価 1,000円(税込)
発売日 2010/02/09
岡本太郎が遺した躍動感溢れる「書」を収録。
「そもそも字と絵の表現は一体のものだった。
象形文字のいわれや変遷などをたどらなくとも、
無心に楽しんで字を書いていると自然に絵になってしまう」。
岡本太郎はそう言って数多くの書を遺した。
それは字とも絵ともつかない独創的なもので、
ともに内面から溢れ出るイメージの表現であって、
彼自身は区別していなかったに遺いない。
この太郎の書を約40点収録。書には彼の言葉を添えた。
ー上記小学館HPより引用ー
太郎象形文字の魅力
5年前、平野さんから「太郎の面白い字があるから是非!」と紹介頂き太郎さんの「遊ぶ字」と出会った。太陽の塔を初めて見た時に感じたのと同じ不気味さとふてぶてしい存在感。文字を素材にしているにも関らず、それは書、絵、書画、いずれの枠からもはみ出ていた。その暴れん坊ぶりに思わず墨を磨り臨書(模写・絵でいうデッサン)をしてみた。造形や空間の中に深く潜入し、自らが太郎さんの筆となってそれを握る太郎さんの“こころ”と対話し、解釈を試みたのだ。
止めや払いなどの筆法、筆順、線の長短、結体、字傾、線の痩肥、あるべき物が無かったり多すぎたりと、書的な決まり事には一切お構いなし。3500年の書の歴史をあざ笑うかのように太郎さんは漢字と共に闊歩する。こりゃー何て字?!と首をかしげ暫し睨めっこすると、文字の形態や作品全体の模様、色彩がヒントとなり、最終的に何故か読めてしまう。まるでナゾナゾのような字、更に可読後には人の表情や仕草、何かのシンボルにまで見えてくる。
最たる特質は、切とうねり、痩肥を加えながら四方八方に乱舞するS字曲線だ。どこから書いたかまるで分からない、さらにその連続で象られる文字もやはりどこが始点か終点かも分からない。書道史上の名筆と徹底的に闘ってきた私だが、この「太郎線」には頭から湯気が出そうなくらい解釈に困った。外へ外へ、グイッグイッと放射状にはじき出され空間全体を支配する太郎線の角のような先端には、漢字自体と交信しその言霊の姿を形而下に落とし込むべく太郎さんの生命がパチッパチッと火花を散らしている。象形文字から発達完成した漢字や言葉に対するアニミズム的な取り組み、あるいは絵心を完全に失いのっぺらぼうとなった現代の漢字への太郎的アンチテーゼ、それが「太郎象形文字」の魅力であると私は思う。
分からなくていい、読めなくていい、ただ感じてほしい。
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