キャプチャー分けのイメージとして「起承転結」「序破急」「春夏秋冬」「風花雪月」
「花鳥風月」などが提案されるが全く面白みを感ず却下、自分らしいという意味でまっ
たくピンとこない。骨組みを決めるの最終会議直前、「風林火山」というアイデアが
突如浮かんだ。自分の代表作となった「風林火山」、「風・其疾如風其・の疾きこと
風の如し」、「林・其徐如林・其の徐(しず)かなること林の如し」「火・侵掠如火・
侵し掠めること火の如し」「山・不動如山・動かざること山の如し」の4章で区切り
多種多彩な作品群を分けて行くと作品の裏側に隠されている私のテーマ性のようなも
のが浮き出てくるような気がした。「風・・・新しさ、斬新さ、発想性、切れ、、、」
「林・・・静寂感、洗練、書的、品格、、、」「火・・・怒り、ダイナミズム、パワー
、シューリアル、、、」「山・・・存在感、核、永遠、祈り、普遍、、、、」、同じ
ように見えるトランスワークでも淡墨の一字書でも、同じ素材の作品でも表面的な文
字や素材、表現とは異なり、私の制作意図によって違い或るものは「風」の章に、或
る物は「火」の章へと組み込まれて行った。
(c)Shoichi Nose
また、1999−2009年までのこの10年間に発表された作品に限り収録する事、
作品の出来栄えや自分のお気に入り順、書道界での受賞作品だからという意味合いは
完全に捨て、美術本全体のバランスや彩りを重要視した。その結果、代表作の一つで
ある超大作「不死鳥(1995年)」「四時逸興・・・(2001年)」、毎日賞受賞作「衝
天(1995)」などは今回未収録となっている。
つづく