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author : スポンサードリンク| 2017.02.03 Friday | - | -
美術本「柿沼康二 書」 −その5−
 

書道の作品集というと言えば個展やグループ展などの開催時に個人的に製本された図
録が大半、
書店にある書道関係の本は、ほとんどが趣味の書道、ハウツゥー本、口と
言葉で書道をしているレッスンプロのガイドブックやエッセー集程度。
今回の美術本出版においても、私はその「常識」とやらを打ち砕く。

オールカラーだと高額になってしまうこと、作品だけでは説明が無いから勉強したと
いう実感を持てない美や作品自体と対話できない人も少なからず、即ち売れないとい
うのがこれまでの書道業界人、出版関係者の常。書が芸術と言い切れない1つの理由
がここある。美術や陶芸の世界でもオールカラーの美術本は少なくない時代になった
し、しっかりした作品集を持たずにプロを名乗って生きていけるこの書道界の実情は
この先何十年経っても今まで通りモノクロ印刷の世界、個人出版の概念から抜けられ
ないのかもしれない。
例外や特例を作り続けてきた私の考えでは、「無理」「できない」は、大概の場合、
心持とやる気の問題なのだ。

そんなこんなで大手経済誌が出版元となり、バーコード付の作品点数62点、計80
ページオールカラーという何とも贅沢な本に仕上がった。色校正3回という出版業界
でもあまり例がない徹底した色へのこだわり、一色の芸術である書というジャンル、
カラーになれていない書道界への自分なりのアンチテーゼ、書の新しい見せ方を模索
し続ける拘りと足掻きの表れなのか。
author : kakiwebmaster| 2010.02.10 Wednesday 22:28 | - | trackbacks(0)
美術本「柿沼康二 書」 −その4−
 いくつもの作業が同時進行で進められた。
ゴールデンウィークを返上し美術本用の印象写真の撮影をした。
東京にてランニングと臨書を、数日後に栃木のスタジオにて作品制作シーンを撮影した。
カメラマンの野瀬勝一氏とはみずほ総研Fole以来、既に長い付き合いとなり、いつ
も最高の写真を提供してくれるので何の気遣いなくスムーズに撮影は進められた。

(C)Shoichi Nose 


今後の海外展開、海外のブックフェアに出品できるよう英語キャプション付けることとなった。
プリンストン時代の仲間、プリンストン大学のデビット・ハウエル教授、小野
桂子先生、エリック・コバヤシ・ソロモン氏に多大なるご指導ご支援を頂き、
本当に素敵な英語キャプションや文章を頂いた。
作品集をお持ちの方は既にお気が付きかと思いますが、同じ素材でも邦題と英題は、
私の制作意図との兼ね合いのもとに全く違うタイトルが付けられた。

映画「アキレスと亀」以来お世話になっているオフィス北野の皆さんの手厚い取り計
らいで、北野武監督から帯文を頂けるというとんでもない事態となった。
「この人の作品、狂ってるわ」、夢のようなお話に数日間、仕事に手がつかなかった。

つづく
author : kakiwebmaster| 2010.02.09 Tuesday 22:27 | - | trackbacks(0)
美術本「柿沼康二 書」 −その3−
 キャプチャー分けのイメージとして「起承転結」「序破急」「春夏秋冬」「風花雪月」
「花鳥風月」などが提案されるが全く面白みを感ず却下、自分らしいという意味でまっ
たくピンとこない。骨組みを決めるの最終会議直前、「風林火山」というアイデアが
突如浮かんだ。自分の代表作となった「風林火山」、「風・其疾如風其・の疾きこと
風の如し」、「林・其徐如林・其の徐(しず)かなること林の如し」「火・侵掠如火・
侵し掠めること火の如し」「山・不動如山・動かざること山の如し」の4章で区切り
多種多彩な作品群を分けて行くと作品の裏側に隠されている私のテーマ性のようなも
のが浮き出てくるような気がした。「風・・・新しさ、斬新さ、発想性、切れ、、、」
「林・・・静寂感、洗練、書的、品格、、、」「火・・・怒り、ダイナミズム、パワー
、シューリアル、、、」「山・・・存在感、核、永遠、祈り、普遍、、、、」、同じ
ように見えるトランスワークでも淡墨の一字書でも、同じ素材の作品でも表面的な文
字や素材、表現とは異なり、私の制作意図によって違い或るものは「風」の章に、或
る物は「火」の章へと組み込まれて行った。

(c)Shoichi Nose


また、1999−2009年までのこの10年間に発表された作品に限り収録する事、
作品の出来栄えや自分のお気に入り順、書道界での受賞作品だからという意味合いは
完全に捨て、美術本全体のバランスや彩りを重要視した。その結果、代表作の一つで
ある超大作「不死鳥(1995年)」「四時逸興・・・(2001年)」、毎日賞受賞作「衝
天(1995)」などは今回未収録となっている。

つづく
author : kakiwebmaster| 2010.02.08 Monday 02:26 | - | trackbacks(0)
美術本「柿沼康二 書」 −その2−
 石橋湛山氏(東洋経済新報社・第5代主幹、第56代内閣総理大臣の写真の前にて)



企画から発売に至るまで構想3年、編集1年という長い歳月を要してしまった。
掲載する頁数の関係で、これまで世に発表した約1000点もの作品の中から先ず200
点、そして150点、100点と作品数をどんどん減らして行かなければならなかっ
た。作り出し落款印を押した作品の一点一点に物語と私の強い想いがあり、当時それ
を書いていた心境や状況などが鮮明にフラッシュバックし、いろいろと考え込んでし
まい作業が幾度も中断された。

「柿沼康二の中に何人の柿沼康二がいるのか」
書家仲間からもよく言われる。良い意
味でも悪い意味でも表現領域が広すぎ、とても同一人物が書いたと思えない表現、年
代や制作意図によってばらつきがあり、作品を減らしていくと同時に美術本一つ作品、
塊を形成していかなくてはならない。また、人か見ると同じように見える作品でも作
者である私の制作意図や狙いが天と地ほど違うものもある。一字書、大作、多字数と
いうTHEのつく書道本、ベタな区分けは避けたかった。

つづく
author : kakiwebmaster| 2010.02.08 Monday 02:25 | - | trackbacks(0)
美術本「柿沼康二 書」 −その1−
 私初の本格的作品集「柿沼康二 書」、発売以来連日たくさんの方々からオーダーが
入り、サイン入れや梱包、発送等がスムーズに進まず、大変ご迷惑をおかけいたして
おります。



今回の美術本は、2008年みずほ総研「Fole」で年間表紙を担当した事がきっかけでこ
の企画が生まれました。
「Fole」でデザインを担当している市川事務所社長の市川さんが出版社や新聞社をご
紹介下さり、二転三転した結果、東洋経済新報社から出版する運びとなった。
当初はエッセイなどをまとめた単行本を出す話しで進んでいたが、そういう本はいつ
でも出せるし作家の本質的な部分とは少しずれるので、やはり国内外で活動するアー
ティストとして先ず硬派な作品集を作りましょうという東洋経済新報社と市川事務所
の意見に共感し、企画は急遽美術本のラインとなった。

つづく
author : kakiwebmaster| 2010.02.08 Monday 02:19 | - | trackbacks(0)
柿沼康二
書家、アーティスト
Koji Kakinuma (c)Douglas Benedict
(c)Douglas Benedict
書家/アーティスト・柿沼康二の芸術観、書道について、アーティスト論、過去の日記などを集めたエッセー集。

柿沼康二(カキヌマコウジ)。書家・書道家・現代美術家。 1970年栃木県矢板市生まれ。5歳より筆を持ち、柿沼翠流(父)、手島右卿(昭和の三筆)、上松一條に師事。東京学芸大学教育学部芸術科(書道)卒業。2006-2007年、米国プリンストン大学客員書家を務める。 「書はアートたるか、己はアーティストたるか」の命題に挑戦し続け、伝統的な書の技術と前衛的な精神による独自のスタイルは、「書を現代アートまで昇華させた」と国内外で高い評価を得る。2013年、現代美術館において存命書家史上初の快挙となる個展を金沢21世紀美術館にて開催。2012年春の東久邇宮文化褒賞、第1回矢板市市民栄誉賞、第4回手島右卿賞。独立書展特選、独立書人団50周年記念賞(大作賞)、毎日書道展毎日賞(2回)等受賞歴多数。NHK大河ドラマ「風林火山」(2007)、北野武監督映画「アキレスと亀」、角川映画「最後の忠臣蔵」等の題字の他、「九州大学」「九州大学病院」名盤用作品等を揮毫。 NHK「トップランナー」「趣味Do楽 柿沼康二 オレ流 書の冒険」「ようこそ先輩課外授業」「スタジオパークからこんにちは(2回)、MBS「情熱大陸」、日テレ「心ゆさぶれ! 先輩ROCK YOU」、BOSE社TV-CM等に出演。 伝統書から特大筆によるダイナミックな超大作、トランスワークと称される新表現まで、そのパフォーマンス性は幅広く、これまでNYメトロポリタン美術館、ワシントンDCケネディセンター、フィラデルフィア美術館、ロンドン・カウンティーホール、KODO(鼓童)アースセレブレーションなど世界各地で披露され好評を博す。現在、柿沼事務所代表取締役社長兼所属書家。


=TOPICS=
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