柿沼康二 書の世界−文字の超越
空 (縦70cm x 横50cm)
子どもの瞳に映るような空、私が幼いときに見た青く大きく抜けるような空、忘れかけた大切な何かを思い出させてくれそうな空を想像しながら書いていた。その様子は傍から見ればきっと、おもちゃの飛行機と無邪気に戯れ遊ぶ子どものようだったに違いない。筆はジェット機が宙を鮮やかに舞うような動き、墨跡は空に軽やかに漂う飛行機雲のような気分。筆先に集中していた視線は次第に大空と化したキャンバス全体を把握し、筆は気持ちがいいくらいに空中を走り回っていた。自由自在に飛べたと感じた瞬間、時が止まった。
聴こえる筈のない言葉が聞こえた。
瞳を閉じて青空を見ろ そこに真実がある (詞 森雪之丞)