極真世界大会。
3日前から準備やらリハーサルやらで東京体育館に詰めていた。
朝からN●Kのスタッフが会場でスタンバイしていた。
私のオープニングデモンストレーションの予定はAM11:00。
30リットルの濃墨の濃度を慎重に調整して、
1時間前くらいからウォーミングアップのマラソンに出た。
NHKがシュートし続けている。
11時15分前、会場の客入れが遅れていることを聞いた。困った。
11:00ジャストにテンションが最高潮になるようにしていたからだ。
どんどん開始が遅れていく。
イライラしている様子をカメラが追っていた。
とうとう開始。12:00近くになっていた。
一万人の前、イントロダクション用のビデオが終わると同時に
会場に飛び出して行った。リングの周りを2周走って、いざ本番。
1時間待たされたせいで体が重く感じた。
約1分の瞬間芸。
何十万円のセットや経費をたった60秒で使い切ってしまう。
まったく贅沢なショウだと思う。
8×8mの布に「心」と書いた。
たった4画の文字だ。おまけに点ばかり。無謀極まりない。
最後の点を打ち込み終わると、遠心力と運動のせいで体が場外に落ちてしまった。
白のスーツが墨だらけになり、楽屋に運ばれた。
精神と肉体の限界である。
楽屋に着くと、もう倒れ込んだまま、力がまったく入らなかった。
涙が流れていた。
汗と墨と涙が混ざり合って何が何だかわからない。
とにかくやった。
終わった。
その後、1時間程、眠りにおちた。
とてもとても深い眠りだった。
起きた頃、長渕剛さんが「新極真会の歌」を声高らかに、
気合充分に歌い上げていた。
緑健児代表が物凄い迫力で演武を披露した。
外国人優勢の噂を覆し、日本人が王座を死守した。
アシスタントの和気、VTRを作ってくれた郡司、
協力してくれた友人みんなに感謝した。